National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST) This page is a page of the former research institute. We stopped updating on March 31.2001.
E-mail to webmaster (Japanese) E-mail to webmaster (English)

外部評価実施結果について    四国工業技術研究所

四国工業技術研究所研究評価総括

 四国工業技術研究所は平成11年12月に外部評価委員会を開催し、評価を受けた。以下にその概要を示す。



平成12年2月20日   研究評価委員会

 四国工業技術研究所は平成5年に改組し、さらに海洋資源開発関係へ研究分野の重点化を進め、世界的水準の研究活動に努めてきた。その間、平成6年には香川インテリジェントパークへの移転を完了させている。本評価は、改組以来約5年を経過した時点での評価を行ない、それを基に今後の研究所運営の指針を与える観点から行なった。
 全体としての評価は、小規模研究所でありながら産業や地域へ良く貢献し、優れた業績を挙げている努力・実績に対して敬意を表するものである。予定されている独立行政法人化を視野に入れて、今後の研究の方向、研究戦略の議論を深め、内容的な充実を計ることができれば、更に大きな発展が可能であろう。
 個別の優れた研究成果・内容から出発して、海洋資源開発・利活用の分野に研究を重点化しつつあり、研究所としてのパフォーマンスも向上している。また、四国地域における唯一の国立工業系研究所としての役割も十分に果たしてきたと判断できる。なお、海洋資源開発のCOE化と四国地域への貢献の双方のミッションについては、今後、工業技術院の2500人の研究者全体で考えて両立させてほしい。
 これらの指摘を参考にして、四国工業技術研究所がわが国の科学技術の進歩と産業の発展に更に貢献するよう、強く願うものである。

@重点領域「海洋資源開発・利活用」の選定とその研究内容

四国工業技術研究所で行っている重点領域の研究(海洋資源の開発・利活用研究)は、内外の科学技術の動向、産業界・社会ニーズ、四工研の研究ポテンシャル全般に照らして、かなり優秀な研究選択および研究内容と言える。
 従来の四工研の研究の流れから海洋というキーワードに特化し、地域の特徴も取り込んだ良い領域設定である。研究内容も、特に海水溶存資源採取の研究は突出したレベルに達している。地質調査所、中国工業技術研究所などとも協力して、独立行政法人の海洋研究領域設立にリーダーシップを発揮してもらいたい。

A重点領域の各分野における研究について

(イ)海洋無機資源分野で実施している研究内容は、新規性・独創性から見て、かなり優秀な研究である。研究体制等も含めて優れているとの評価があった。また、産業ニーズ・社会的ニーズの観点からも、かなり優れた研究である。
 リチウム採取の研究では基礎研究と平行して、民間企業と協力しエネルギーコストを含めたシステム全体の研究開発を行うべきである。また、研究ポテンシャルのある吸着構造体の材料設計的なアプローチをさらに充実すべきと考える。資源確保という観点からは、日本の産業技術を制する資源に着目してエンジニアリング技術まで仕上げてほしい。一方、海水からのレアメタル採取からスタートしたこの技術を廃棄物からのレアメタル回収等への技術に発展させるべきとの意見もあった。これらの意見を基にして、今後、海洋無機資源分野の中で、何が骨格となって資源の有効利用が進むのかについての戦略を立てる必要があろう。

(ロ)海洋生物資源分野の研究内容は、新規性・独創性から見て優秀な研究である。産業ニーズ・社会的ニーズの観点からも優秀と言える。
 個性的な研究であるとともに実用技術まで展開した点は評価できる。今後の研究対象としては、海洋バイオマスのプラスチック化技術、海藻類からの生理活性物質、海洋バイオマスによる二酸化炭素削減技術などが考えられるが、幅広く研究を行うよりも優先順位を付けて研究資源を集中すべきである。

(ハ)海洋開発技術分野の研究内容は、新規性・独創性から見て優秀である。また産業ニーズ・社会的ニーズの観点からも優秀な研究である。
 水中溶接技術は高く評価できる。水中計測技術も必要な技術であるが、限定された技術なので産業界などと広く連携を取ることが必要。高エネルギービーム複合加工関連研究については、優れた技術であるという意見と、四工研でやるべき研究かどうか再検討の必要があるとの意見があった。この分野で将来に重点を置くべきテーマとしては、海洋空間利用、海洋構造物の加工組立研究が挙げられた。

(ニ)「地域向け研究その他」の研究は、新規性・独創性から見てほぼ適切である。また、産業ニーズ・社会的ニーズの観点からも適切である。
 現状では地域のニーズに対応して適切に研究を行っている。しかし、独立行政法人化以後、地域向け研究をどう位置付けるかについて、海洋技術につなげることで一体感を出すべきという意見、今後は法人全体の窓口として地域ニーズに対応すべきとの意見があった。

B四工研の研究体制について

(イ)四工研の組織と研究者配置は、効率的、効果的な研究を行う上でほぼ優秀な体制と言える。少ない研究要員をグループ化、外国人研究者、ポスドクなどで、カバーしていると言える。部室制に関しては、部長室長の役割は産学官連携のプロジェクトフォーメーションに重点を置き、部と室の二重構造を見直すべきとの意見があった。
(ロ)異分野融合に適した研究体制がとられているかについては、ほぼ適切と言える。
(ハ)所の進捗状況管理、中間・最終評価等の管理は、適切である。現状で適切な評価項目を作成し、年2回の所長ヒヤリングを行っていることは評価する。良い研究に予算を反映していることも評価できる。

C研究者の確保、育成、評価体制について

(イ)ポスドク、フェローを含めた優秀な研究者を確保するための方策は、ほぼ優秀と言える。四工研ではポスドク、フェロー等優秀な研究者が確保されている。しかし、大学などの優秀な研究者を確保するには処遇などの受け入れ態勢の整備が必要である。独立行政法人化ではこのあたりの体制整備が必要であろう。
(ロ)研究者の業績評価およびその処遇(研究費配分、役割分担等)への反映については、適切である。
(ハ)若手研究者を育成するための方策は、適切である。提案公募等への若い研究者の応募など、意欲向上が図られている。しかし、海外留学の機会が少ないと考える。
(ニ)研究者の流動性を確保するための方策は、ほぼ適切である。今後の独立行政法人化に向け、流動性を一層強くする必要がある。職員の異動は別として、外部研究者も含めれば流動性のある研究所との印象を受けた。なお、過度の流動性はジェネラリストを作り出すことになり研究者養成上は良くない、との意見もあった。

D四工研の研究施設・設備、研究環境整備

(イ)所の研究スペースは、十分にとられている。
(ロ)所の研究施設・設備は、優秀な水準が確保されている。
(ハ)所の予算の規模は、現状では適切な水準が確保されている。
(ニ)自由で競争的な研究環境を作るための取り組みについては、所長等のリーダーシップは優秀と言える。少人数の研究所の良さは十分に出ている。

E共同研究・技術指導、四国地域との産学官連携

(イ)共同・協力研究や技術指導、委員会活動等に関して、四国地域外も含めて産業界や大学との連携については、ほぼ優秀と言える。産学官の連携は良く行われているが、待ちの姿勢でなくもっと積極的に売り込みに行く必要がある、との意見があった。
(ロ)海外との研究交流等は、ほぼ適切である。
(ハ)工業技術院他研究所との研究交流等については適切である。
(ニ)四国地域における共同研究や技術指導等の研究交流は、十分に行われている。地域プロジェクトの共同研究などにほぼすべての研究者が携わっており、地域との交流は十分である。連携の数はすでにかなりあり、さらに香川大学工学部が近隣にできるので、これからも交流が進むと期待される。
(ホ)四国地域における産業振興のための種々の取り組み(広報、委員会活動など)は十分である。現状は良い地域活動を行っているが、独立行政法人化後は今の延長線上の活動では評価が低くなる。地元の財界トップなど、オピニオンリーダーへのPRと理解が必要になるとの意見があった。

F四工研の研究成果について

(イ)所の発表論文の数は、ほぼ適切であるが、ポスドクなども入れて考えると全体として多いとは言えない。
(ロ)所の発表論文の質は、ほぼ優秀である。インパクトファクターの高い国際雑誌への掲載がかなり含まれていることは評価できるが、より一層の国際雑誌への掲載を望む。プロシーディングが多いが、速やかに論文誌に投稿すべきであろう。
(ハ)所の口頭発表の数は、ほぼ優秀である。
(ニ)所の特許の数は、ほぼ適切である。
(ホ)所の特許の実施数などは、ほぼ適切である。しかし、これからは特許戦略を考えてもっと出願に力を入れるべきであり、所としても、特許に対しての研究員評価を大きくするべきと考える。海外特許が少ないが、これからは国際特許が重要なのでそれに対する予算をちゃんと確保すべきである。
(ヘ)所の表彰・受賞の数は、ほぼ適切である。
(ト)成果普及(共同協力研究・技術指導、特許、兼業)のための取り組みは、ほぼ優 秀と言える。しかし、四国工業技術研究所報告についてはほとんどが外部に投稿した論文の再録集であるので、わざわざ出版して郵送する意義は薄いと考える。

G全体的な総括について

(イ)所の業務全般に関しては、制約が多い中で積極的に取り組んでいる。四工研では民間研究所に近い研究管理が行われており、非常に良い。他機関との協調、所内意見の集約的調整を的確に行って効率的に研究を推進しており、所長ほかのリーダーシップは優れていると言える。
(ロ)四国における国立研究所として、四国工業技術研究所は四国地域の産業・社会のニーズに対して、十分に対応している。
 地域に対しては、十分に対応して来たと言える。四国の技術開発に関わる種々の組織や委員会などに参画し、技術開発のリーダー役を果たしている。歴史的な変化の中にあって限られた陣容で対応し成果を立派に出してきたが、これからは科学技術のグローバルレベルでの競争が始まっており、未来に向けた研究所のグローバルな戦略構想を打ち出す時期である。
(ハ)国の産業・社会のニーズに対応する通商産業省のミッションを推進する観点から見て、四国工業技術研究所は少ない人数で十分にその使命を果している。
 四工研では、独立行政法人化を好機としてとらえて積極的に改革を推進しようとしており、感銘を受けた。独立行政法人化後、国家社会と地域社会の両面のニーズにバランス良く使命を果たすように要望する。日本の科学技術が曲がり角にきている現在、国研に対する期待は大きい。これまでの立派な業績を生かして新法人内の海洋領域をリードしてゆく力量が問われている。頑張ってほしい。
                                                                      −以上−