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1998年12月
−超軽量水素貯蔵技術は実現するか?−
エネルギー資源部 石炭物性研究室 曽根田 靖
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カーボンナノチューブと炭素繊維の中間の繊維径を持つものが繊維状炭素あるいはカーボンナノファイバー(carbon filamentあるいはcarbon nanofiber)と呼ばれる。その太さは10〜数100nm,長さは数μm程度で範囲が広く,合成条件によってその大きさが異なる。炭素の原料としてはエチレンなどの炭化水素ガスや,一酸化炭素が用いられる。カーボンナノファイバーは,鉄やコバルトなどの金属触媒を用いて,気相の炭素源を適切な条件下で熱分解することにより合成される。繊維状炭素の組織としては,炭素網面の繊維軸に対する配向が,平行,垂直,傾斜の3種類が知られている(図1)。炭素網面が繊維軸に対して垂直あるいは傾斜している組織はカーボンナノファイバーに特有のもので,他の繊維状形態では見られない。そして,この2種類の組織においては,炭素網面から成る層状構造の端面が繊維の外側に並んで露出することになる。この特徴ある組織が他の炭素材料にみられない水素吸蔵等の性質をもたらすと考えられる。
炭素析出反応に用いた実験装置はパイレックス製の閉鎖循環系で,循環ポンプによって基板金属上に反応ガスを循環流通させる構造である。横置型の石英製反応管が所定の温度に達した後,一酸化炭素と水素を所定の濃度に混合した反応ガスを流通させた。基板はステンレス(SUS321, 30x50x1mm)をn-ヘキサンで脱脂した後,18% HCl中で15分間超音波洗浄を行い清浄表面として実験に供した。析出した炭素質は基板上から剥離し,粉末法X線回折測定,走査型電子顕微鏡(SEM)および透過型電子顕微鏡(TEM)観察を行った。
CO80% (H2バランス)の混合ガスを,550℃に保持したSUS321基板と接触させた場合,断面が扁平なplatelet状になっていることが示された(図3a)。TEM観察からは,この場合の繊維状炭素は中空部分のない密に詰まった炭素質であり(図3b),炭素網面の積層は繊維軸方向に対して完全に垂直になっている事が明らかとなった。このような構造は,炭素網面の積層が黒鉛構造のc軸方向に特異的に成長していることを示唆している。X線回折図形からは,3次元規則構造の発達した極めて結晶性の高い黒鉛構造を持っていることが明らかとなった。| 1) | A. Chambers, C. Park, R.T.K. Baker and N.M. Rodriguez, J. Phys. Chem. B, 102, (1998) 4253-4256. |
| 2) | M.S. Kim, N.M. Rodriguez and R.T.K. Baker, J. Cat., 131, (1991) 60-73. |
| 3) | N.M. Rodriguez, A. Chambers and R.T.K. Baker, Langmuir, 11, (1995) 3862-3866. |
エネルギー資源部石炭物性研究室 曽根田 靖
| National Institute for Resources and Environment |
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