通商産業省工業技術院各研究所の独立行政法人産業技術総合研究所への再編に伴い,2001年3月31日をもちましてバイオロボティクス研究室は解散いたしました.長年のご愛顧を深く感謝いたします.研究室メンバーは産業技術総合研究所知能システム研究部門に異動いたしましたので,最新の研究成果についてはそちらをご参照下さい.
→知能システム研究部門
研究室の概要
- ロボティクスは,生物が持っている機械システムにはない様々な特徴に注目し,それを工学的に理解して,新しい機械システムの構築に役立てようとする研究分野です.こうした生物の機能にヒントを得て,機械を設計することは,人に優しい機械を構成する上でも重要です.バイオロボティクス研究室では,人の手・腕が持つ技能を機械化する基礎的な研究から,人が容易に操作できる遠隔操作型ロボットの研究,人が生活する空間で人にサービスを提供する人間共存型ロボットの研究などの研究を,内外の研究者(機械技術研究所常勤研究者5名,外国人研究者3名,大学院生6名(内筑波大連携大学院2名)が行っています.
主な研究テーマ
スキルの機械化に関する研究
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非駆動関節(モータなどのアクチュエータを持たない関節)を有するロボットを慣性力を利用して制御する方法を開発した.現在はこうした力学系を非ホロノミック系として扱った非線形制御の研究を進めている.また,これらを利用して物体を動的に操作する手法の構築をめざしている.
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人間の学習能力をロボットに付加することは,多様な作業をロボットで実現する方法として有効である。人間は自ら運動・行動し,その結果を観察することによって作り上げた環境モデルを利用して作業を行う.ここでは,環境モデルとそれに基づいた運動・行動の学習機構を解明することをめざして研究を進めている.環境モデルの基となっている座標系に着目し,視覚上で与えられた目標点に手先を到達させる運動における座標変換の学習機構の研究を行った.
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同一のソフトウエア構造,および機能をもつ複数のロボットが,ある仕事を協調して行う際の役割分担を自律的に生成するアルゴリズムを研究している.各ロボットが共通に行動の基本モジュールを持ち,相手の行動選択状況と作業の達成状況を観察した結果から,適切な基本行動選択を学習するアルゴリズムが開発された.
ロボットの遠隔操作の研究
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ロボットの遠隔操作に有効に使える,高解像,広視野で視覚的映像を取得し,人に提示するヘッドマウントディスプレイの研究を行っている.人が注視している領域を眼球センサで計測し,その領域に高解像,周辺に比較的解像度の荒い像を提示することで,広視野・高解像度化を目指す研究が進められている.
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インターネット,ISDNなど,通信ネットワークを介してロボットの遠隔操作を効率的に行う技術を研究している.ネットワークに異なった場所に存在する異なるタイプのロボットを複数接続し,それらを一カ所の遠隔操作装置を使って遠隔操作する問題や,一カ所に置かれた複数のロボットを通信回線を介して異なる場所にいる操作者が操作して協調作業を行う問題が検討されている.前者については,日仏間で第1回目の共同実験が行われた.
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マイクロ手術やマイクロ物体組立をめざし,微少なマニピュレータを通常サイズの操縦用マニピュレータに接続し,微少な物体を遠隔から操作することを可能にする技術が研究されている.微少物体を扱う世界は,マクロな世界と物理法則が異なる.こうした物理法則の違いを克服し,操作性の高い遠隔操作を実現すべく,マイクロ物体の取り扱いに適したマニピュレータの機構設計や,マクロな操縦系の世界とミクロなマニピュレーションの世界を整合させるためのスケーリング則とその評価法が提案された.
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従来の光学式顕微鏡は焦点深度が浅く,三次元の微細作業を行う際に画像のボケが作業の障害となっていた.そこで,高速で焦点距離を変化させながら読み込んだ画像を高速処理し,どこでもピントの合った画像(全焦点画像)をリアルタイムで獲得できる微細作業用のカメラを,デルフトハイテック(株),川鉄テクノリサーチ(株),(株)デンソーと共同で開発している.
人間共存型ロボット技術の研究
人間共存型ロボットの機構と制御に関する研究
人がいる空間で,人と接触しつつ行動しても安全なロボットの構造と制御を研究している.従来のロボットは,床にしっかり固定して使われているため,運動中に人に接触すると,大きな衝撃が伝わり危険であった.この研究では,ベースが自由に動くマニピュレータを,ロボットの安全構造として提案,作業中に人と接触しても,ベースの動きでそれを緩和し,かつ仕事を継続するマニピュレータの制御法が検討されている.
また,人間と同一の環境で作業しうるロボットの形態の一つとして,二足二腕をもつヒューマノイド(人間型ロボット)が考えられるため,その基盤技術となる二足歩行技術についても研究を進めている.
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人が例えば1の力を出すと,その数倍あるいは数十倍の力を発生して,重量物の搬送を補助するロボットシステムを研究している.この分野の研究では安定な力増幅系を設計することが従来から課題であった.使用アクチュエータの最大トルクを考慮しつつ,重力負荷と,慣性などの動的負荷を分離してそれぞれに個別の増幅比を設定する方式をベースとした安定な力増幅系の設計法が提案され実験で有効性が確認された.現在,移動型パワーアシスト系の制御問題が検討されている.
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人間とロボットの共存を考えた場合、ロボットには、人間の動作を認識しながら行動する必要がある。そのため人間の動作を認識するためには、視覚的なインターフェースが容易かつ簡便であるが、画像データの膨大さから、実時間性に大きな問題があった。ここでは人間との円滑なインターフェース(コミニュケーション)を実現するために、人間の顔表情とジェスチャーに注目し、固有空間法を用いた、実時間認識手法を提案すると共に、その有効性を検証した。
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人の心や情緒に楽しみや安らぎを与え,心の癒し効果を持つロボットをメンタルコミットロボットと称し,動物を模倣したペットロボットの研究開発を進めている.人から命令されて動作するのではなく自律的に行動し,人と身体的にインタラクトするロボットを,オムロン(株),三協アルミニウム工業(株)と共同で開発した.こうしたロボットの人の心への主観的な影響を評価し,ハード・ソフト両面で人間の主観的評価を高める方法について研究している.
バイオロボティクス研究室ホームページ