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巡検も大詰めが近づいて来ました.
今日はミニバスで,ホノルルシリーズの単成火山を主に見てまわる予定です.まずホノルルの東にあるハナウマ・ベイ(Hanauma Bay)に向かいます.
ハナウマ・ベイはシュノーケリングスポットとして有名ですが,ここはマグマ水蒸気爆発でできた火口が海と繋がった,ちょうど伊豆大島の波浮港と同じような所です. 地形をよく見ると,いくつかの火口が複合してできていることがわかります.北東にはココ・クレーター(Koko crater)という別の火口があり,同じ割れ目を使った噴火活動とされています.全体としてこの割れ目噴火口はハナウマ・ベイの南西からココ・クレーターを通って,約9kmほどの長さになるようです.
ハナウマ・ベイは州立公園になっていて,立ち入りがある程度制限されています.自家用車での訪問は原則禁止,貸し切りまたは公共バスかタクシーなどで送ってもらうしかありません.そんな場所ですからハンマーを使って岩石を採集することは当然禁止です.この日はボランティアの案内の方が付いてきてくださって,案内してくれました.まず火口縁から全体を見て,クーラウ火山,ハナウマ・ベイの説明.ハナウマ・ベイを作った活動の時代は3.5万年前とのことでした.
歩道を下っていく途中にはサージ堆積物の露頭があります.玄武岩質の岩片のほかに白い珊瑚礁の破片も含まれています.説明では岩片はクーラウ火山の古い岩石の破片ばかりとのことでしたが,どうみても急冷縁を持った本質岩片があります.これも分析して,ソレアイトかアルカリかを決める約束をしていたのでした…(^^;)
#分析しました.分析値はこちら.
浜辺までおりて行きますが,水着のおねーさん,おにーさん,おばさん(^^;)の中では我々は浮きまくってましたね…
何気なく波食台の上を見ると,オリーブ色の砂があります.オリビンサンドです(^_^)崖の下,波食台の最上部近くに溜まっています.粒径は0.5mmくらいでしょうか.サンゴの破片や岩片も多少混じってはいますが,8割はカンラン石です.カンラン石より比重が小さいサンゴや岩片は大きめのサイズです.
その先の露頭で学生達に課題が課せられました.露頭を記載してレポートにしなさいというものです.でもこの露頭,結構難しくて面白すぎる露頭なんです(^^;)
どうも割れ目噴火でできた溝の中に玄武岩が溜まったらしいのですが,非常に悩ましい構造をしていて,一見岩脈のようにみえます.実際岩脈もありますが,どこがどう違っているのか正確に記載するのは結構大変です.まして解釈となるともっと悩むところです.実際この日の夜のミーティングではいろんな意見が出て,最終的にはもう一回見ないとわからんということになりました(^^;)2年生主体の学生にはややきつい露頭ですがそれでも一生懸命記載してくれてました.
さてハナウマ・ベイの次はココ・クレーターの南東麓でサージ堆積物のデューン構造とサージ堆積物の下の基盤の観察です.
サージ堆積物と言うのは地表に沿って流れる砂嵐のような火砕物の流れで,いわゆる火砕流よりは細粒で淘汰も比較的良いものです.よく砂丘と同じようなデューン構造を作りますが,ここにはその典型的な露頭があります.この露頭は26年前に故中村一明さんが見て「あっ」と声をあげた露頭です(火山の話,岩波新書P130).中村さんが見たのと同じ露頭を見ているのだと思うと,感慨深いものがあります.
道路から海岸に降りると,サージ堆積物に覆われた石灰岩を見ることができます.
ココ・クレーターを眺めてから,マカプウ(Makapu'u)岬近くの展望台で,クーラウ火山の侵食された断面を眺めます.侵食による崖(Pali)の高さは300mから高いところでは700mにもなります.崖には薄い玄武岩溶岩流が縞模様を作っているのがわかります.沖合いの2つの島はハナウマ,ココと同じ割れ目を使った単成火山です.ここには小さなトーチカ跡があって,そのすぐ近くにカンラン石斑晶が40%は入っている玄武岩溶岩流があり,皆目の色変えてハンマーを振るってました(^^;)
クーラウ火山は北東半分が完全に無くなっていますが,残った溶岩流の構造,重力探査などから,山頂カルデラの位置はカイルア(Kailua),カネオヘ(Kane'ohe)からパリにかけてにあったと言われてます.平行岩脈群もあるはずですが残念ながら適当な露頭がなく見ることはできませんでした.
カイルアからホノルルに抜ける自動車道のところはヌウアヌ・パリ(Nu'uanu Pali)と呼ばれます.崖の上には展望台があり,比高300mの崖の上からカイルア・カネオヘ方向を一望できます.ここはカメハメハがハワイ統一時にオアフ島の軍勢を崖から追い落とし,統一を決定付けた古戦場なのだそうです.ここから崖の下へ追い落とすなんて,酷いことをするもんです.
展望台から旧道を下ると,クーラウ火山の岩脈やクーラウ火山を不整合に覆うホノルルシリーズのスコリア丘を観察できます.このスコリア丘はネフェリナイトなんだそうで,これも日本では滅多に見られない岩石です.
この近くで野生のグアバを見つけました.ちょっと酸っぱいけれどもおいしかった です(^^)蚊の攻撃には参りましたが…(^^;)
帰りには車窓から同じくホノルルシリーズの火砕丘であるパンチボウルを横目で見な がらの帰還です.