ASTER observation for Miyake Island
資源探査用将来型センサ(ASTER)による三宅島の二酸化硫黄放出量観測について
(平成13年1月24日新聞発表資料)
経済産業省 産業技術総合研究所 地質調査所は資源探査用将来型センサ(
ASTER
)のデータを解析して,三宅島雄山から放出される二酸化硫黄の放出量を推定した.
従来,二酸化硫黄の放出量はCOSPECという測定器をヘリコプターに搭載して観測していたため,
線上での観測しかできないことや夜間の観測ができない等の問題があったが,
ASTER
を用いることによって夜間でも面的に観測できる.
ASTER
を用いて二酸化硫黄の放出量を推定したのは世界で初めて.
添付の図に2000年11月8日午前10時47分頃に観測されたASTERの熱赤外画像を示す.
白いところは温度が高く,黒いところは温度が低い.
噴煙はシアン色に見えるが,これは特定の波長の赤外線が噴煙中の二酸化硫黄によって
吸収されたためと考えられる.これから求められた二酸化硫黄の分布と
ASTER
のステレオ機能から求められた風速から,
三宅島雄山の二酸化硫黄放出量は4-8万トン/日と推定された.
9月以降の観測では,雲がかかって観測できない場合を除いて,
全て二酸化硫黄による赤外線の吸収を確認した(9月21日朝,9月26日夜,10月5日夜).
今回の結果は,ASTERシステムを用いた繰り返し観測が二酸化硫黄の放出量を観測する上で,
極めて有効な観測手段であることを示している.
特に,観測機材の乏しい発展途上国や遠隔地にある火山の観測にはきわめて有効である.
2000年11月8日午前10時47分ころに観測されたASTERの熱赤外画像.
ASTERのバンド11,13,14から得られた温度情報をそれぞれ赤,緑,青に割り当てて表示した.
白いところは温度が高く,黒いところは温度が低い.黒い斑点は厚い雲.
グレーの部分は薄い雲が掛かった部分または,比較的温度が低い海面.
噴煙がシアン色に見えるのは,バンド11の温度が二酸化硫黄によって低下したため,
赤の補色であるシアン色に見えると考えられる.
従って,シアン色の濃い場所は二酸化硫黄の濃度が高いと推定される.
ASTERデータの権利は経済産業省に帰属する.
ASTERとは
ASTERは経済産業省が開発し,米国NASAなどと協力して1999年12月に打ち上げられた
Terra衛星に搭載された地球観測センサ.可視から熱赤外域を合計14バンドで観測できる.
夜間も観測可能であるが,雲があると観測できない.
16日に最低1回ずつ朝と夜の観測が可能.三宅島では16日間で朝1回夜2回の観測が可能.
ステレオ機能
ASTERセンサの一部.直下と後方を観測するセンサを用いて,標高を観測するための機能.
噴煙の高度や風速も観測できる.
COSPECとは
二酸化硫黄が特定の波長の紫外線を吸収することを利用して二酸化硫黄濃度を測定する装置.
太陽からの紫外線を利用しているため,夜間観測はできない.
三宅島においては,気象庁がCOSPECをヘリコプターに搭載して二酸化硫黄の放出量を
定期的に観測している.
今後の予定
経済産業省 産業技術総合研究所 地質調査所は引き続きASTERを用いた二酸化硫黄放出量の
観測に関する研究を実施するとともに,
ASTERを用いた三宅島における二酸化硫黄放出量の観測を続ける予定である.