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テクトニクス


日本列島は典型的な島弧であり、複数のプレートの沈み込みに関連した地質現象が観察される、世界でも希な場所に位置しています。1980年代に精力的に進められた古地磁気学的研究により、日本列島はかつてはユーラシア大陸東縁に位置していたものが、およそ2000-1500万年前に日本海が拡大することにより、太平洋側に移動したことが明らかになってきました。動きざること大地のごとしとはいえないのです。とくに、伊豆半島がおよそ100万年前から日本列島中部に衝突していることが明らかになり、赤石山地と関東山地にはさまれた南部フォッサマグナ地域は、島弧と島弧の衝突帯として注目されています。

関東山地の回転

関東山地は赤石山地とともに基盤岩類の帯状配列の八の字状の屈曲構造を形成しており、古くから関東対曲構造の東翼として研究されています。最近、精力的に研究されている古地磁気測定結果について、概観してみましょう。



関東山地の回転に関する研究は、近年岩石の古地磁気方位を測定することにより、定量的な議論が可能となりました。岩石が形成されたとき当時の地球磁場を地磁気の化石として獲得し、長い年月保存されます。従って、岩石が形成された年代とその岩石が記録している古地磁気の方位を測定すれば、日本列島の形成および変形過程が明らかにされます。
関東山地の地層において初めて古地磁気を測定し、関東山地の回転と結びつけた研究は、Hyodo & Niitsuma (1986)によるものです。かれらは今から1500万年前の海底に堆積した秩父盆地の地層について調べ、古地磁気方位が東に偏っていることを報告しました。元来、南北に向いているべき地磁気が東に90゜ほど偏っているのは、関東山地が1500万年以降、時計回りに回転したためであると考えられます。彼らの研究は、その後の関東山地の回転問題に関する研究を進展させたきっかけになりました。


Hyodo & Niitsuma (1986)により関東山地が1500万年以降大きく回転したことが示されましたが、ではいつ回転が終了したのでしょうか。Takahashi & Watanabe (1993)とTakahashi & Nomura (1989)により、回転途中および回転終了後の地層の古地磁気データが得られています。
右図は関東山地の北西部の内山地域に分布する八重久保層の火山岩類の古地磁気方位を示したもので、東に30-40゜偏っています。これは内山地域がこれらの火山岩類が噴出した時(およそ1200万年前)以降、30-40゜時計回りに回転したためであり、関東山地の回転途中に八重久保層の溶岩が噴出したと考えられています。このことから、関東山地は1500-1200万年前の300万年間に50-60゜程度回転したことになります。

関東山地はいつまで回転していたのでしょうか。左の図はTakahashi & Nomura (1989)により示された秩父石英閃緑岩の古地磁気データです。見事に南北方向にそろっていることから、秩父石英閃緑岩の貫入(およそ600万年前)以降は関東山地は回転しなかったと判断されます。
以上のことから、関東山地は1500-1200万年前に50-60゜程度、1200-600万年前に30゜程度時計回りに回転したと考えられており、わずか900万年間に90゜前後も回転したことが示されました。ところで、関東山地はなぜ回転したのでしょうか。興味のある方はこちらへ

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