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「地質」の記念日を創りましょう |
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NHKの朝のラジオ放送で,「今日は何の日」という番組があります.午前5時20〜30分頃と,その後,6時45〜50分頃で,「詩人と私」という穏やかな曲にのせて,その日その日にかつてあったことを,簡単な解説付きで振り返っていきます.5時台は夢うつつで聴いていることも多いのですが,ある時,「やられた!」と思って目が覚めたことがありました.何月何日だったか,正確な日付は覚えてはいないのですが,「今日は,海上保安庁水路部で初めて海底地形図を作った日です」というアナウンスが流れてきました.いつも聴いていながら,なぜ「日本で初めて地質図が作られた日」というのを放送してもらうことを思い付かなかったのか.産学官連携推進センターとして ,日々,地質調査所の成果の宣伝に努めてきたつもりではいたものの,まだまだ足りなかった,色んなメディアを使って成果を普及していく,という思いが足りなかったと反省しました. つくばでは,毎年6月のはじめに国土地理院で開催される,「測量の日」(6月3日)を記念した催しが人気を呼んでいます.地質調査所の職員も,家族連れで随分沢山の方が参加されているようです.6月にはこのほか気象記念日(6月1日)というのもあります.7月には海の記念日(7月20日)があり,9月は防災の日(9月1日)があります.いずれも地球科学に関係がありますが,なぜか「地質の日」というのはありません.これらはいずれも各省庁がそれなりの準備をし,提唱し,イベントを催し,定着してきたもので,地質調査所ではそのような努力を怠ってきたといわれても致し方ないのでしょう.遅ればせながら,そして,二番煎じどころか,三番,四番煎じではありますが,地質を記念する日を作りたいと考えました.いかがでしょうか? 地質学は,その教育を大学で行い,研究は大学だけでなく,地質調査所の様な研究機関でも実施しています.さらに,地質学を社会と密接に結び付けているのが,地質コンサルタントのような地質調査業界,ほかの関連企業群です.もちろん,このような分業は厳密なものではなく,どの分野でも,教育も,研究も,社会への結びつきも,比重のかけ方の違いはありながらも取組まれております.近年,高校生の地学離れが深刻となっており,それは大学での地質学を専攻する学生の減少,就職先としての地学教師採用の減少にすぐに結びついています.地質学の地盤沈下というよりも,地質屋さんの数の減少,消滅に結びつきかねない現在の教育の状況,社会の状況をみたとき,地質学という学問の重要性を何としても一般の方々に理解していただかなくてはならないとの思いを強くします.かつては,国土に胚胎される金属資源,燃料資源などの財産評価が地質学の重要なテーマでした.地下資源の枯渇,人口の増大と都市部への集中に伴い,地質学のターゲットも拡がってきています.現在では地質災害から国民の生命・財産を守る,そのための大きな武器の役割を持つという認識にもなっています. 地質学の復権とまでは言い過ぎですが,実学としての重要性の認識を高めるためには,地質学に関連する三者,産,学,官がともに力を合わせていくことが,今重要となっています.地質に関する記念日の提唱をひとつの旗印にして,三者の連携を深め,地質学を社会の中へ広げていく,その第一歩を踏みだすために,地質に関する記念 日を創りませんか? |
湯浅真人(「地質ニュース」2000年3月号 巻頭エッセイから
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