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鉱床成因研究室

[鉱床生成モデルと探査法]

 鉱床探査を効果的に行うには、求める鉱床がどのような場所に存在するのか、鉱床の存在 する条件や規則性についての知識が不可欠です.このような鉱床の生成条件や規則性の研究 は鉱床成因課の行う研究の中心課題です.

 鉱床生成に関する条件や規則性などの研究情報を総合化・一般化して示したものが鉱床生 成モデルです.例えば、日本を代表する銅・鉛・亜鉛の金属鉱床として知られる黒鉱鉱床の 生成モデルを示したのが右図上です.このタイプの鉱床はある特定の地層に伴って産出しま す.新第三紀中新世(地質年代)の約1〜1.5千万年前の地層中の、しかも海底の火山活動に よって生じた火山岩に伴うのが特徴です.この様な条件を指針として、昭和30年〜40年代に 多くの黒鉱鉱床が発見されました.

 近年、電子材料や合金鋼などの新素材としてレアメタルの利用が増加し、鉱床探査の面で も注目を集めています.日本に産するレアメタルには、タングステン、モリブデンなどがあ ります.これらのレアメタルの鉱床は、地下深くのマグマから発生した熱水とよばれる有用 な元素を多く含む高温の水溶液の作用で生成されたものです.マグマの性質は、花崗岩のよ うな岩石を作った珪長質マグマであるのもひとつの特徴です.このタイプの鉱床生成モデル を示したのが右図下です.珪長質マグマの活動に伴う鉱床は、ほかに錫、銅、鉛、亜鉛、リ チウム、ベリリウム、タンタル、セリサイト、カオリンなど数多くの資源を産するのでその 研究は重要です.

[広域探査とグローバルな視点]

 世界の鉱床の分布をよく見ると、鉱床が沢山ある地域とそうでない地域があります.つま り、鉱床は地球上で偏在して分布しているのです.このような鉱床の偏在性は、地球規模の 大きなプロセスに関係していると考えられています.鉱床偏在性の原因が解ければ鉱床の未 発見地域が世界のどこにあるか特定することも夢ではありません.海外における広域的な鉱 床探査にはグローバルな視点での探査法の開発が必要となっています.

 国際的な研究協力は、グローバルな研究を進めるうえで重要です.資源に関しては世界各 地域の資源需給バランスに支障を生じないよう資源の探査・開発を行わねばなりません.近 年、アジアは中国や東南アジアなどを中心に経済成長が著しく、21世紀には日本に並ぶであ ろう勢いをみせています.経済の発展に伴い資源の消費も大規模になると予測されるので、 来世紀には日本を含めこの地域の資源供給が大きな課題になると思われます.このような見 地から、アジア各国と次のような研究協力を行ってきました.


 この中には協力がさらに拡大して、国際協力事業団のプロジェクト方式技術協力に発展した ものもあります.また、先進国、途上国を問わず個々の研究者ベースでの派遣や招聘を通して の交流も近年増えています.

[岩石中の元素移動の研究とその応用]

 金属鉱床は特定の金属元素が岩石中に濃集したものです.言い換えれば、この濃集のメカニ ズムを研究するのが鉱床成因の研究です.濃集は複雑な物理・化学反応を経て行われるのです が、そのプロセスの中で採掘対象となる元素だけでなく、それ以外の元素も濃集したり、離散 したりします.このような岩石中の元素の移動は鉱床の存在位置を推定するうえで大いに役に 立ちます.

 タングステン鉱床の生成モデルからも推定されるように、鉱床の周りにはタングステンの濃 集する地化学異常が現れますが、採掘対象ではないフッ素の高異常も右図に示したようにその 数倍も顕著に現れることが分かりました.フッ素は水に溶けやすい元素なので、その影響は河 川水など地表の水にも現れ、水地化学探査によってその異常を容易に確認できることが研究に よって確かめられています.

 放射性元素の岩石あるいは地層中での移動の研究は、高レベルの放射性廃棄物地層処分の研 究にも応用されています.放射性元素が地層中の様々な条件下でどのように移動するのか.ま た、それを封じ込めるのに適した地層としてどのようなものが良いのか.鉱床成因の研究は環 境保全の課題にも積極的に応用されています.



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