線から面へ−地質図の作成−
地質調査中は,調査の済んだ地点から次第にルートマップに書き込まれていきます.しかし,植生や土壌がある限り,地層の露出には限界があり,地域を全面的に調べ尽くすのは困難です.また,そこで,どうしても調査できない場所は,最後にはさまざまな状況証拠から推量して地質図を完成させます.
例えば,深い海で堆積した地層は,通常広い分布を示します.隣り合うふたつの谷でそのような地層が確認されれば,その間の尾根にもその地層が分布していると考えるのです.反対に続くはずの地層が隣り合うルートに現れないときには,断層などの何らかの原因が考えられます.
岩石はその種類によって風化・浸食の受けやすさが違うことも多いので,地層の分布は地形に反映されることも少なくありません.褶曲や断層などの地質構造も,詳細に見ればしばしば地形に現れています.また,露頭の少ない地域では,斜面や沢にある転石の種類も,石や地層の分布を間接的に教えてくれる大切な情報です.
更には過去の研究報告がある場合はそれを参考にして,継承するところ,直すところを考えながら,ようやくひとつの区割りの地質図が完成します.
こうした一連の過程の中で,過去の研究とは異なる事実を見いだしたり,新しい発見があったりします.それらは地質図とは別に,あるいは地質図と同時に専門誌に研究報告として公表され,社会の知的財産として蓄えられていきます.
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