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  封圧下のP波速度変化とひずみ変化から推定された湯坪地熱井コア試料の割れ目の性状

火山性貯留岩に集積する天然ガスの炭化水素の起源に関する地球化学的研究

講演要旨(メタンハイドレート−海底に眠る次世代天然ガス資源を求めて−)

封圧下のP波速度変化とひずみ変化から推定された湯坪地熱井コア試料の割れ目の性状

薛 自求(基礎地盤コンサルタンツ(株))・西澤 修(地殻熱部)・桑原保人・鈴木茂之(地殻物理部)

1996

第47巻第12号,599-617頁

25図

Keywords: Yutsubo, P-wave velocity, strain, anisotropy, geothermal well

[ 要 旨 ]
 大分県湯坪地熱実験フィールドの地下岩盤物性を把握するために,調査坑井YT-1とYT-2のボーリングコアを用いて静水圧100 MPaまでのP波速度とひずみを測定した.試料は対角線長70-80 mm,高さ90-100 mmの八角柱に整形され,マクロな割れ目がひずみや弾性波速度に及ぼす影響を調べるに十分な大きさとなっている.試料各側面には鉛直方向に,両底面には45度の角度で3方向にひずみゲージが貼られた.P波速度は鉛直方向と水平面内45度ごとの4方向で測定された.試料YT-1-4 (898 m)では不均質な変形が見られたが,これはマクロな割れ目のためと考えられる.試料YT-1-8 (1696 m)とYT-2-2 (1212 m)では,水平方向,鉛直方向のひずみやP波速度に異方性が認められた.試料の微細構造を観察するため,測定後の試料に青色染料で着色したエポキシ系樹脂を染み込ませた薄片を作成し,顕微鏡下の観察を行った.実験時の圧力載荷によって生じた新しい割れ目は先在割れ目に沿って発生していた.測定時の高い封圧による鉱物粒子の圧砕や,変質鉱物の塑性変形は,YT-1-4の試料で圧力除荷後にみられた大きな回復不能なひずみの原因と考えられる.

火山性貯留岩に集積する天然ガスの炭化水素の起源に関する地球化学的研究

坂田 将(地殻化学部)・高橋 誠(環境地質部)・猪狩俊一郎・松久幸敬(地殻化学部)・星野一男((財)エンジニアリング振興協会)

1996

第47巻第12号,619-642頁

18図,7表

Keywords: geochemistry, natural gas, volcanic reservoir, sedimentary reservoir, biogenic origin, abiogenic origin, chemical composition, isotopic compsition, hydrocarbon, helium, northeast Japan, Neogene

[ 要 旨 ]
 東北日本地域における新第三紀堆積盆地の火山性貯留岩(VR)と堆積性貯留岩(SR)に集積する天然ガスについて,化学組成(メタン-ブタン,二酸化炭素,窒素,ヘリウム濃度)と同位体比(メタン,エタン,プロパン,n-ブタンのδ13C値と3He/4He比)を測定し,VRガスの生物起源の可能性を中心に,天然ガスの炭化水素の起源に関する検討を行った.
 ガスの化学組成は,VRガスとSRガスのいずれも炭化水素が主成分で全体の90 %以上を占め,メタン-ブタンの各成分の濃度についても,VRガスはSRガスと区別される点は見いだされない. CO2の濃度は必ずしもVRガスに多い傾向は認められず,3He濃度との相関性も低い.このことはVRガスのメタンをマグマ性CO2の還元で生成したとする解釈(非生物起源説)を支持しない.
 3He/4He比はVRガスがSRガスよりも明瞭に高い傾向がある.VRガスの最大値7.8 RA はMORBタイプのヘリウムに相当する高い値であり,ヘリウムの多くはマントルに由来すると考えられる.しかしながらVRガス,SRガスのヘリウム濃度と同位体比はマグマ起源のメタンを想定しないモデル,すなわちマグマ起源ヘリウム(CH4/3He=0,3He/4He= 8 RA )と生物起源メタン(CH4/3He=1.5×1013, 3He/4He=0.02 RA )の2成分混合によって矛盾なく説明できる.
 VRガスのメタンの炭素同位体比(δ13C1)はSRガスの同比の分散範囲に含まれている.またBernard Diagram[C1/ (C2+C3)vs. δ13C1]による起源評価で,VRガスは熱分解起源の領域,または熱分解起源と微生物起源の混合領域にプロットされる.VRガス,SRガスの全体を通じて,ガスの層準が深くなるほどδ13C1が上昇し,C1/ (C2+C3)が低下する傾向が認められ,浅層の微生物起源ガスと深層の熱分解起源ガスの混合モデルによって統一的に説明される.
 VRガスのメタン,エタン,プロパン,n-ブタンの炭素同位体比の間には,δ13C1 <δ13C2<δ13C3<δ13C4という関係が成立し,VRガスのエタン以上の炭化水素が非生物起源のメタンのポリメリゼーション反応によって生成したという可能性(Gold and Soter, 1982)が排除される.VR,SRガス全体を通じてδ13C4 − δ13C3とδ13C3 − δ13C2が明瞭に相関し,その関係は石油等の高分子炭化水素の熱分解反応に伴う同位体効果 (Chung et al., 1988) に合致する.δ13C2 − δ13C1は同じ同位体効果から期待される値に比べ,同等かもしくは低い値を示している.この点もδ13C値の低い微生物起源のメタンが熱分解起源の炭化水素に様々な割合で付加していると考えることで説明される.これまでに知られている非生物起源のメタンの事例では,通常の熱分解起源のメタンよりもδ13C値が高く,本測定結果からそのようなメタンがVRガス中に多量に含まれている可能性は否定される.

講演要旨(メタンハイドレート−海底に眠る次世代天然ガス資源を求めて−)

地質調査所におけるメタンハイドレート研究
奥田義久(燃料資源部) 643頁

合成実験によるメタンハイドレートの安定条件の検討
前川竜男(地殻化学部) 643頁

コンピュータ・シュミレーションによるメタンハイドレートの物性値推算
中村和夫(大阪ガス(株)基盤研究所) 644頁

(特別講演)メタンハイドレート開発技術の研究開発について
國友宏俊(通商産業省資源エネルギー庁石油部) 644頁

メタンハイドレートの分布と資源量の推定
佐藤幹夫(海洋地質部) 644頁

メタンハイドレート探査とBSRの持つ意味
倉本真一(海洋地質部) 645頁

コア温度測定によるメタンハイドレートの産状と分布−ODP Leg164米国東方ブレークリッジ海域での例−
渡部芳夫(燃料資源部) 645頁

(特別講演) 海底下にメタンハイドレートを探る −ODP Leg164の成果とメタンハイドレート研究の展望−
松本 良(東京大学大学院理学系研究科) 645頁